面接にスーツを着てくるのは常識ではないか?

先日、ハローワークに行き求人募集をしたもらった。これだけの求人難なのであまり期待していなかったのだけれども、なんと一人だけ申し込みがあった。46歳の男性である。46歳、男性?

求人募集をする場合、法律により性別の指定による募集をかけてはいけないことになっている。これはこれで変な話で女性向きの仕事もあれば男性向きの仕事もあるし、会社ではどんな性別の人がこようとも、採用するのは男性!と決めていれば女性が募集に来れば不採用にするだけである。ある意味、募集する側もされる側もミスマッチになること非効率極まりない。

なのでうちの会社では直接性別を指定することはないけれど、仕事の内容を書く説明欄にそれとなく募集したい性別をにおわせるように書く。男性の募集をするときは「トラック運転のできる方」とか「20kgの荷物を運ぶ仕事であります」とか書く。女性の場合は「きめ細やかな仕事が多いです」とか「来客されるかたの接客が多いです」とか書く場合が多い。ある意味、小手先のテクニックである。

それで今回募集をかけたのは女性の正社員が欲しかったからだ。これでもかというくらい女性向きの仕事内容を書いて募集した、つもりだった。そしたらなんと男性が募集してきた。それもいい年をした男性がだ。

しかしまあ、せっかく募集してきていただいたことだし面接をすることにした。女性向きといっても別に男性にはできない仕事ではない。もしかしたら、ものすごいキャリアを持った男性かもしれないし、ちょっと期待感があった。

そして面接当日になり、時間の5分前くらいに男性が来社した。どのような人が来ているのだろうとバカみたいだが少しワクワクしながら、軽くスキップぎみで会議室へ向かう。そして、会議室のドアを開けた。

え?

 思わず叫びそうになった。そこにいたのは、少し破けたカーキ色のニット帽をかぶって、少しすすけた感じの同じくカーキ色のパイロットジャンパーをはおり、なかは黒色なのか灰色なのかよくわからないトレーナーを着て、そしてこれまたでかいポケットが前についた、これまたすすけたジーンズをはいた男性が立っていた。そしてものすごく太っていた。ドラゴンクエストにモンスターとして出てくるトロルみたいで異様に腹が突き出ていた。

絶句とはこのことをいうのであろう、本当に何も言えなかった。え?スーツじゃないの?面接って?と、自分の常識がガラガラと崩れていく音が聞こえそうだった。しかし、じっとしているわけにもいかず、とりあえず私は「ようこそおこしくださいました、どうぞおかけください」と言った。

しかし相手は自己紹介をすることもなく、目はうつろで下を見たまま「はい」と言って会議用テーブルに腰かけた。え?何も言わないの?

そして、かぶっていたニット帽をとるとそこには毛がなかった。ハゲていたのである。それもブルースウイルスのようなかっこいいハゲ方ではなく、てっぺんがハゲていて、前髪のほうも薄くなり天心玉すだれのようになっていた。もう、うわああああああ、と逃げ出したくなるのをこらえて、心地より少し離れて、気持ちはだいぶ離れて男性の正面に座った。

男性はこれまたちょっと汚い布のバッグから履歴書を出し、これまた目も合わせず、ちょっと大きなだみ声で「よろしくおねがいします」と言った。少し驚いたのは外見に似合わずまあまあ字がきれいであったことだ。面接のために一生懸命書いてきたぞ!という意気込みがうかがい知れる字体だった。

もう私は心ここにあらず状態になっていたので今となっては何を聞いたのか覚えがない。しかし、男性からは「はい」としか聞こえなかったように思う。無口と言えば無口だけれども、面接って自己アピールしなければならないんじゃないか?と思った。

しかしまあ、男性はものの見事に目を合わせなかった。そして一番不思議なのは働くやる気が感じられなかった。いったい、遠路はるばるやってきて履歴書を書いて何しに来たんだろうと思わせる態度だった。

おそらく時間にして5分くらいで面接は終わった。その場で不採用と言ってよかったのだけれど、いちおう相手の手前、後日連絡するということでおかえり願った。

私はこれでもあまり人を外見で判断することはない。ただ面接にスーツを着てこないというのはいかがなものか。たったそれだけのことができずに、まじめにうちの会社で働く気があるのだろうかと不思議でしかたなかった。

面接にスーツを着てこなかっただけで、うちみたいな会社でまじめに働くとかなんとか判断するなと思われるかもしれない。しかしたかがスーツされどスーツなのである。なぜか?それは面接官は私だからである。私の常識からしたら面接はスーツなのである。その常識から外れている段階でスタートラインには立てない。

とエラそうなことをいうが、おそらくどの会社でも同じだと思う。誰がとやかく言おうが、面接にはスーツが常識なはず。ここでつまずいているようでは、おそらく採用されたとしてもまともな仕事はできないのではないか?

もちろん仕事はスーツでというわけではない。うちの会社も作業着なのでスーツなど着ている者はいない。これはあくまで面接の話である。おそらくあのホリエモンだとしても、あそこまで有名でなければ、スーツを着ずに面接をすれば採用されることは難しいのではないか。

と、まあ、冷静になって面接後の感想としてふっと思ったことである。しかしスーツ以前の問題でもあるのだけれど…。だって女性向きの仕事の説明をあれだけ書いたのに、なぜあなたが募集するの…。