父親としての威厳を保つため、チンピラと戦う方法

生まれてからというもの殴り合いのケンカをしたことがない。ひとりっ子なのでつかみ合いの兄弟げんかもない。先生にはよく殴られたし、カツアゲされそうになったことも何度かあるけれど、修羅場みたいな経験はほんとにない。基本ものすごく気が小さいので、そういう危険な目を避けよう避けようと行動してきた結果である。

しかし最近ふと思うことがある。自分には子供がおり下の子は小学生の男の子だ。どうもそういう年頃だからだろうか、力が強い、ケンカが強い男がすごいと思っているフシがある。ドラゴンボールとかそういう格闘系のアニメを見るのが好きなので、とくにそういう傾向があるのかもしれない。それで、もし子供たちといっしょに出かけたりしたとき、チンピラみたいなちょっと怖そうなお兄さんとかに絡まれたらどうしたらいいのだろうかと考えたりすることがある。

自分がひとりの場合、からまれそうになったら生まれ持った俊足でピューっと逃げる、絶対に。相手が「オイコラ!」の「オ」と発した瞬間に逃げ出す。恥も外聞もなく逃げ出す。もし最悪囲まれてしまったら、即土下座だ。それでもヤバそうなら仕方がない、さっとパンツを脱いで気が狂った人に扮するだろう。そこまですればどんなヤバい奴でも絡んでこれない、だって相手がヤバすぎるからだ。

だが息子といた場合はどうだろう。いくらそんなわたしでも親としてのプライドがある。子供を置き去りにして逃げだすことなどできはしないし、かといって相手に立ち向かう勇気もないし腕力もない。もちろん、パンツなんか脱げるわけがない。家では風呂あがり、すっぽんぽんだけれども…。やられたらやられたで、ケンカが強い男が男らしいと思っている息子は一生わたしを軽蔑するだろう。どんな言うことも聞かなくなると思う。やれやれ、どうしたものかと本当に深刻に考えたことがある。

そんな悩めるお父さんに向けた面白い記事を見つけた。

president.jp

これを読んで一番感心したのは、わたしの今までの生き方は間違っていなかったということだ。君子危うきに近寄らずという言葉どおり、危険を回避するのではなく、最初から近づかないことが本当の強さということを述べるために塚原卜伝のエピソードが書かれていた。そう、わたしは本当は強いのだ、ある意味で。そんなことよりチンピラに絡まれてしまった時の対処法である。

もし、からまれてしまったときには相手の恫喝や脅しに対して同じ土俵に立たないことが大切だという。

相手の土俵に乗らないのだ。

「人の顔、なにジロジロ見てるんだ」

という攻めに対して、

「見てません」

と答えたのでは相手の土俵。

同様に、

「なんで停まらないんだ」
「おたくが一時停止でしょう」
「ケンカ売る気か」
「売ってません」

というのも相手の土俵だ。問いかけに答えること――これが相手の土俵なのだ。図式で書けば「Catch→Answer」で、これがまずい。

ケンカなれした人やディベートに強い人は、意識して「Answer」を素っ飛ばし、「Catch→Question」にもっていく。話を噛み合わせない。相手の土俵には絶対に乗らないのだ。

ではどのように返したらいいかというと「なにジロジロみてんだ!」に対しては「何か御用ですか」という。これは使えそうだ。「ケンカ売ってんのか!」に対しては「警察行きますか?」といった感じで会話をはぐらかすということだ。そうすることで相手は拍子抜けというかツッコミどころがなくなるので立ち去っていくらしい。それでそのコツが「キャッチ→アンサー」ではなく「キャッチ→クエスチョン」にもっていくことだそうだ。なるほど。

この記事を読んで思い出したのが、クレーム対応の達人の方も似たようなことを言っていたように思う。悪質なクレーマーも相手の言葉のあげ足をとって追い込むことに長けているので、まともに取り合わないように対応するらしい。一番いい方法が「困りましたね~」といって黙り込むのがいいという。

たしかにこの相手の土俵に立たない対応であれば子供がいても恥をかくことはないかもしれない。あとから「ここでケンカしたら勝つことはわかっていたけど、相手をケガさせてお父さんが刑務所に入るのは嫌でしょ?」とかなんとかごまかせば子供は納得するだろうし、かっこよくはないけど恥をかかなくて済む。

ということで、これで安心して子供とどこへでもお出かけができるというものだ。それとこの方法なのだが、ヨメさんには通用しませんのであしからず。一度試したら、ヨメさんの土俵に乗らないどころか、向こうからズカズカ上がり込まれて逃げ場がなくなり泣くはめになります…。