万引き犯に間違われ、盛大な恥をかいた日

いつも夜にスマホの充電をするのだけれども、あるとき充電を忘れてしまい仕事中に充電が切れそうになってしまった。夜の仕事は暇だからスマホで遊べなくなると困るので、ちょっとお客さんのところに行ってくるといって100円ショップに行った。スマホの充電器を買いに行くためである。何かの番組でなかなか100円ショップの充電器は使えると紹介していたのを思い出したのだ。

あまり100円ショップに入ったことがないのだが、近くの100円ショップに入ると最近の店はこんなに充実しているのかというくらい商品が満載だった。さすがにこれだけの商品があると圧倒されてしまい見入ってしまった。

目的の充電器はレジ前にあったのですぐに見つけれた。しかし、せっかくきたのだからと年甲斐にもなくブラブラと店内を見てまわった。いやほんとにすごいのなんの、こんなものまであんなものまで100円で売っているのかとものすごく感心したしだいである。化粧品や下着まで売っていたので、ジーッと女性ものの商品を売っている棚まで見ていた。そして、事件は起こる。

万引き犯に疑われる?

なにやら、お店の従業員につけられているみたいなのだ。こっちの棚を見ていると少し向こうのほうで眼鏡をかけた女性従業員が棚を整理していたのだが、通路を挟んだ違う棚に移動すると同じように女性従業員が平行移動する。あれ?もしかして万引き犯に間違われているのか?

たしかにあらためて自分の格好を見るとひどい。よごれた作業着のまま来たから目立つことこのうえないし、カゴも持っていないし、買ってもいない充電器をぶらぶら持ったまま、あたりをキョロキョロしながら店の中をうろついているものだから、万引き犯に間違われても仕方がない。

しかしまあ、ほんとにつかず離れず眼鏡をかけた女性従業員はついてくる。さりげなくはあるけれど、見てますよ的な鋭いオーラがでている。怖い…。でも何も悪いことしていないし気にせずそのままプラプラしていたのだけれど、そうこうするうちに、オナラがしたくなった。こんなときにである。

オナラの問題

自分はガスがたまりやすい体質なのかよくオナラをする。もちろん人前ではしない、家族のまえではする。しかしどうしても我慢できないときは公共の面前であろうと、オナラをしてしまう。その場合は音が出ないようバレないよう、肛門を微妙に引き締めて、この引き締め具合はミリ単位で行わなければならないのだが、そーっとガスを出す。俗にいうスカしっぺである。

店のなかで急にしたくなったものだから困ったものだ。外に出ようにもまだ商品は買っていないし、商品を置いて外に出ていこうものならそれこそ万引き犯に間違われるだろう。なので眼鏡の女性従業員の監視のもと、他のお客さんがいない棚へ移動して決行することにする。

ちょうどいい具合に園芸用品のある売り場が誰もいなかったので、そこでタイミングを見計らう。もちろん眼鏡の女性従業員もわたしから数メートル離れた場所に待機している。これほどオナラをするのに緊張したことはない。なんせ監視されているのだ。

もうがまんができなかったので、まあ万引き犯に間違われているわけだからどうでもいいやと思い、あたりを見回して誰もいないことを確認し、眼鏡の女性従業員のことはあきらめて、たまりにたまったガスを噴出する。最善の注意を払って肛門を開いていく。

ぶうううううっ!

なんということだ!長年にもわたり付き合いつづけて信頼を築き、いつも寄り添って生きてきた肛門がここぞというときに裏切ったのだ!その音量たるや今までに聞いたことのない大轟音で、あたりにこだまするかのように響き渡った。自分でも一瞬何が起こったのかわからず頭が真っ白になってしまった。そう、あまりにガマンしていたので、たまりにたまったガスが肛門をいっきに突破してしまったのだ。

これはセクハラか?

そしてはっとした。そうだ、監視している眼鏡の女性従業員がいるのだった。もうパニック寸前だったわたしは、そのままその場を離れればいいものを、すーっと顔を眼鏡の女性従業員に向けた。目が合った。眼鏡の女性従業員は顔をこちらに向けていた。眼鏡のレンズの大きさ以上に目を見開いて、驚愕している様子がありありとわかった。わたしはそのとき何を思ったのか「あ、この子、けっこうかわいいんだな」と場ちがいな感想をいだいたのだけれど、むこうは明らかに動転している。

わたしは顔をそーっとそむけて、ここでバタバタと動いたら逆に恥ずかしさが増しそうだったので、いやもう恥ずかしすぎるのだが、何ごともなかったように充電器を片手にレジに向かった。清算後、車にもどり考えた。あの子は今どんな気持ちでいるのだろう。「小汚いかっこうをした小太りのおっさんが、私のよこで屁をこいたのよ!セクハラよ!訴えてやる!」なんてみんなに話をしているのだろうかと少し不安だったが、自分を万引き犯と間違えてついてきたあの子が悪いのだ、とどうでもいい難癖をつけて会社に戻った。100円ショップの探索は楽しかったのだけれど、もう2度とあの店に行くことはないだろう。