土居丈朗先生の「諭吉先生のお札が紙切れ」という失礼極まりない記事

経済評論家が書いた記事をたまに読む。あまり経済理論とか知らない私は、その内容を評価できる立場にはない。ただ、論理的に書かれているか?という点に絞って読むことはある。また、その評論家が過去にどんな発言をし、予想が当たっていたかなどで書かれていることを信じるかどうか判断している。

そして、たまたま目に付いた記事があった。土居丈朗という慶応大学教授の書いた記事だ。

諭吉先生のお札が紙切れに、日銀緩和続けば経済大混乱も-土居慶大教授 - Bloomberg

じつはこの土居丈朗というひと、昔から「財政破綻やばーい!」「財政破綻がやってくるぞー!」といつも言っていて、結局なにも起こらないという、現代版オオカミ少年のような先生である。

日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか

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また、たしか2014年の消費税引き上げのとき、景気に影響はありませんと言っていたけれど、ちゃっかり景気は下がり、アベノミクスの成果が中折れしてしまったこともある。

消費税を増税しても景気悪化はないと述べた専門家たち(プライマリー・バランス死守は亡国への道④) | 日刊SPA!

私のなかでは、この土居丈朗先生はオオカミ少年ならぬオオカミ博士と思っている。

そんなオオカミ博士である土居丈朗先生が、この記事でしょっぱなからいきなり、このまま日本銀行国債を買い続けると「慶応の人間としてはあまり言いたくないが、福沢諭吉先生の肖像の1万円札が紙切れになるかもしれない」という。しかし、その後の記事に、一万円札が紙切れになる理由なぞ書いてないので、その話、どこにいったの?となる。

それはともかく、記事での土居丈朗先生のロジックはこうだ。まず現在、日本銀行国債保有率は4割だけれど、6割ぐらいになると金利が上昇する。金利が上昇しても政府は困らないが、「運転資金に困っている中小企業は生き残れない可能性がある」という。そして、唐突に行政サービスも縮小されて皆さん困るよ、とくる。それでいきなり、いつもの文言「財政緊縮」しなければダメだよ、とおっしゃいます。

さらっと読むと「なるほど」となりそうだが、よく読むとまったく意味がわからない。まず、日銀の国債保有率が6割になると金利が高騰するという因果関係がわからない。理由らしきことに日銀が国債を引き受けできなくなるかもしれないと皆が思うからだそうだ。皆が思うから?ってどういう意味だ?そして6割の根拠もよくわからない。8割ではなく、なぜ6割なのか?また、そのとき、どのくらい金利は高騰するのか?まったくわからない。

なのでそのあとの、中小企業は生き残れないだの、行政サービスの低下でみんな困るぞだのという説は無根拠極まりないただの脅迫でしかない。

それと土居丈朗先生は「財政緊縮しなければならないよ」という前に、「国際通貨基金IMF)が強制的に介入するかどうかは別として」などと、いきなり国際機関の名前など出してくる。たしかに韓国やギリシャみたいに財政破綻した国の話ならわからないが、日本は財政破綻をしてもないし、そんな兆候もないのになぜIMFなんかが出てくるのかまったくわからない。

また、最近ではIMFが日本は財政的に危なくないし、健全だよというレポートを出したばかりだ。

IMFが公表した日本の財政「衝撃レポート」の中身を分析する(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

そして最後にインフレか金利の急騰が「どちらかが急に起こる可能性はある。日銀が国債を買い入れる度合いが高まれば高まるほど、発生確率は論理的に高まっている」と締めくくる。確率なんだから、いつの時点でどのくらい起こるのかを確率として示してくれないと困るとおもうのだが…。

というわけで、まあ、この記事のまとめ方が悪すぎるのか、土居丈朗先生がロジックがなさすぎるのかよくわからないが、おそらく両方だろう。だって表題にもある「諭吉先生のお札が紙切れ」の理由はどこにいった?これでは諭吉先生に失礼である。そんな失礼極まりないこの記事がただの「紙切れ」でしかない。