新人社長、初のミーティングをする

今年から代表取締役に就任することになった。つまり社長になる。よく飲み屋さんでフィリピン人がお世辞にいう、あの「しゃっちょさん」である。まだ40代なのに社長なんぞになりたくはなかったのだが、諸事情によりならざるをえなくなったのだ。

というわけで、社長就任後、初のミーティングが今日、開催される。まあ、開催といっても社員5人しかいないので大げさなものではない。ちょっと話があるからみんな集まってー、と小学生のホームルームみたいなものである。

じつはミーティングを開くことに決めたのはいいのだが、何を話せばいいか何も考えていない。なので、あと2時間しかないが、開かれる前にここで考えることにしたのだ。いま、私の周りで仕事をしている人は、新社長がデスクの前で真剣に何をしているかと思えば、まさかブログなぞ書いているなんて思わないだろう。

とりあえず何を話そうか考えたのだけれど、結局、以下の3点に絞って話をする。第一に、緊張感をもって仕事をしてもらいたいということ。第二に、最悪を想定して、ある条件がそろったときは会社をたたむということ。第三に、この業界の動向と今後の方向性をざっくりと、だ。

貫禄がないのでごめんなさい

緊張感をもって仕事をしてもらいたいというのは、わたしが社長になった経緯にある。私が社長になったのは能力があるからではない。ただたんに父親が社長をしていて、年も年だし自分はもう引退したいからお前が社長をやれといわれたからにすぎない。ほんとそれだけ。

父親はさすがに創業者なので、さまざまな修羅場をくぐったり資金繰りに窮したりといった経験をしてきたので、存在感というかある種の「凄み」がある。その場にいるだけで、「ピリッ」とした緊張感がある。

しかし二代目社長がよくいわれるように、わたしはただのボンボン社長だ。「凄み」なんてもちろんない。また悲しいことに、存在感もない。事務所に入ってきても誰も気づかず、挨拶されないなんてことは日常茶飯事だ。また、人に注意したり怒ったりも最近では全くしない。正直言うと怒りたくても怒れない性格である。

そういう自分が社長になることで一番危惧するのは、会社に緊張感がなくなってしまうことだ。ようは規律が緩むのではないかと心配している。組織なんてものはモロいもので、負の連鎖が始まるとあっというまに崩壊してしまう。しかし、わたしにはそういう緊張感を持たせる「凄み」も規律を保たせる能力もない。

ということで情けないことではあるけれど、お願いしたいのは皆さんが自主的に緊張感をもって仕事をしてほしい。ただそれだけ。まあ、今後も社長をしているからといって私に「凄み」なんて出てくる気がしないので皆さんよろしく。

会社を閉じる条件

そして第二の話として、そんな凄みのない社長なので、死に物狂いで会社を守るという気概もない。よくある話として、会社の資金繰りなどが苦しくなった時に、自宅を担保に入れて金を借りたり、社長の給料をなしにしてほかの従業員の給料を優先したり、最悪の場合は闇金に手を出したりと、あの手この手で会社を守ろうとするけれど結局は倒産し、社長が自殺したり蒸発したりすることがある。はっきり言って絶対に自分はそんなことはできない。まあ、根性がないからね。

ということで、もし次に述べる三つの条件のどれかに当てはまる場合、会社をたたむこととする。戦争でいえばいつ撤退するか?とうことだ。

赤字が二期連続続いたとき

第一に「赤字」が二期連続で続いた場合。おそらく現状では、二期以上連続で赤字を出すと資金繰りができなくなる。なので一期目に赤字になって何らかの対策を打っても二期目も赤字であれば、会社をたたむしかない。そして二期目の赤字の時点で会社をたためば、処分できる資産もあるし借金もそれほどないので誰にも迷惑をかけずにたたむことができる。まあ、皆さんには迷惑だろうけどね。

社長が再起不能になったとき

会社をたたむ第二の条件としては、私が死んだ場合、もしくは再起不能の病気になった場合。これは当たり前だけど、うちのような小さい会社は社長がいなくなったら誰も経営はできないし、組織全体ををコントロールすることができない。副社長も役員すらいないからだ。まあ、死んだあと俺が社長をやる!という人がいれば別だけどね。

社長のヤル気がなくなったとき

会社をたたむ第三の条件は、私のやる気が無くなった時。たとえば人材難で仕事が増えすぎて、私が朝から晩まで休みなく働かなければ回らなくなった時、いやでしょ、そんなの。また、今日からパン屋さんをする!と、今の仕事と違ったことが突然やりたくなった時とか。まあ、みなさん申し訳ないが、そういう私の一存で会社をたたむとか決めてしまうということ。

会社をたたむ3つの条件のうち、起こる確率が高いのは、第一の条件が大きいと思う。お金という切実な問題が絡んでくるからだ。まあ、あとは第二の条件だろう、何が起こるかわからないのが人生だからね。というわけで普通はこんなことを考えないというか、みんなに言わないだろうけど、私の性格上、決めておきたかったし、みなさんの耳に入れておきたかったのであえて言う。

では最後に3つめに言いたいことを書こうと思ったけれど、時間がなくなったのでやめた。

以上のことをミーティングで言うのだけれど、聞かされた皆さんはどんな風に受け取るだろう。まあ、会議室を出た途端、みんな忘れてるだろけど。