「脳はみんな病んでいる」を一気読み!

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「池谷裕二」先生という脳科学者が書いた本が大好きで、出版されるたびに真っ先に買って読む。そして最近「中村うさぎ」さんと共著で書かれた「脳はみんな病んでいる」という本が出たので読んでみた。

脳はみんな病んでいる

脳はみんな病んでいる

 

 池谷裕二先生と中村うさぎさんとの共著はこれが2冊目で、私はもちろん1冊目も読んだ。名前は忘れたのだけれどその本は私が知らないことばかり書かれていて、ものすごくおもしろかった。今回の「脳はみんな病んでいる」も最新の脳科学の知見に基づき書かれているため、面白くて面白くて一気読みである。

池谷先生と中村うさぎさんの会話形式で書かれているのだが、池谷先生の脳科学の知識の話題を中心にとくに読んでいて印象に残った箇所をご紹介。

網膜は光の信号を「0」と「1」みたいなデジタル信号に変換して、ピピピッ、ピピッピッピピピッとモールス信号として、視神経を通じて大脳皮質に送っています。私たちは大脳皮質を通して世界をリアルにみているのですが、そこには光そのものが届いていないのです。デジタル化された電気パルスが入ってくるだけです。もっとかみ砕いて言うと、人間は光を見ているのではなく、単なる電気パルスを「見え」として解釈しているのです

この箇所は驚くと同時になかなか理解しがたいところだ。たしかに言っていることはよくわかる。私たちは「世界」を見ているとき「世界そのもの」を見ているのではなく、 目から入った世界の「光」という情報をデジタル化したものを脳が解釈しているん過ぎないという。う〜ん、なんと言ったらいいのか、ようは私たちは世界を見ているようで見ていない。脳が勝手に解釈しているだけと捉えればよいのか。

なので本当にみんなが同じ一つの景色を見て、同じように見えているかは本当はわからにそうだ。わたしが「赤いりんご」として認識している物が、実は他人は「黄色いみかん」みたいな物を見て「赤いりんご」といっていたとしても、いちおうお互いに同じ物質を「赤いりんご」と言っているわけだから共通の認識はあることになる。ヤバイ、わけがわからなくなってきた。

なので「幽霊」が見える人は実際に「見えて」いるわけではなく、脳の中で「見えて」いる。だから私たちからしたら存在しないものでも、幽霊が見えている人は実際に見えているので、否定のしようがないとも言っていた。難しい。

目から入ってくる情報は、視覚情報の全体からみればごく一部です。(中略)

目から直接入ってくる視覚情報はわずか三パーセント以下でしかありません。 

目に関して言えばこれもびっくりした。私たちは見ているようで、ほとんど見えていないというか、認識していないという。 

我慢に関するおもしろい論文があります。「あなたは何もしなくてもいいですよ」と告げ、真っ白い壁に囲まれた、何もない無音の部屋に十五分間入ってもらいます。(中略)

参加者は皆、「あんなことはもう絶対にやりたくない」と答えます。刺激が全くない部屋十五分間放置されることに、人は耐えられません。退屈は拷問です。

 これはわかる。仕事でもそうなのだけれど、何もすることがないというは本当に拷問である。何もせずに机に座っていることほど苦しいことはない。やはり人間は何かしら行動をしていないとだめだということだ。しかし、よく監獄の映画なんかでやっている「独房」とかあれは究極の拷問だな。

あと、この実験には続きがあって、ボタンを押すと強い電気が流れる普通ならば押すはずのない機械をその部屋に置くと、なんとこの実験部屋に入れられた被験者は何度も押すという。ようは「退屈」よりも「刺激」というか「苦痛」を選んだわけだ。それほど「退屈」というのは人間にとってだめなものらしい。

生まれた季節によってかかりやすさが違う病気はほかにもあります。なんと寿命も違うのですよ。一番長生きできるのは十月生まれの人です。ほかの月に比べて、平均寿命が六ヵ月ほど長くなります。(中略)

四月や五月生まれは循環器系、心臓系の病気にかかりやすく、八月や九月生まれには喘息が多いです。とくに喘息は、生まれた直後の自然環境が関係しています。夏には家ダニが増え、草木の花粉もたくさん飛んでいます。生まれた直後にそういう環境にさらされると、免疫系が感作されて、その人の体質を決めてしまうのです。夏生まれの子供の喘息は、他の季節生まれの一・六倍にものぼります。

 これは最近流行のビッグデーターよりわかったそうだ。統計的に優位だそうで、結構な確率で誕生月により、かかりやすい病気や体質がわかるという。うちの息子がすごい寒がりなのは冬生まれだからか。わからないけど。

過去の著名な天才の中でも、とくに天才というべき七十八人に絞って、彼らの言動や性格などを調べると、精神病あるいは発達障害と診断される人は三七パーセントになるそうです。その疑いが高い周辺症状まで含めると、この割合は八三パーセントにもなります。もちろん、天才だからといって全員が異常だというわけではないのですが、同じ調査によれば、天才で「健常」だと考えられる人は、わずか六・五パーセントにすぎないようです

 天才と狂人は紙一重というけれど、実際に統計的に証明されたわけだ。また、東大生などにも精神疾患ではないけれど、発達障害や自閉症みたいな症状を持った人は通常の人よりも多いらしい。

というわけでもっと面白い話題がたくさん出ていたけれどこのへんで。この本の流れは池谷先生が知識を披露して中村うさぎさんがつっこむという絶妙な関係で作られているので、ためになる上に読みやすくかつ面白い。絶対におすすめである。