介護の準備は事前にしておくべし!「かあさん、ごめん。50代独身男の介護奮戦記」を読んで思う。

大げさだがうちの会社もご多分に漏れず「高齢化」の波が襲ってきている。最近、従業員がちらほらと介護を理由に退職したり休職を申請したりしてくる。数年前にはなかったことだ。

まあ、自分にも70歳を過ぎた両親がいるので、いつ「介護」という問題に直面するかわからない。だけれども親を介護するということが想像もできないので何の準備も覚悟もしていない。

ところで、あるサイトに「介護問題」の特集をやっていて下記の本が紹介されていたので読んでみた。

母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記

母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記

 

金を出して時間をかけてまでこのような悲惨なノンフィクションは読まないのだけれど、いつか自分も介護という問題に直面したときのためと思い買った次第である。

親の介護で精神的、肉体的に追い詰められていく様子が悲惨すぎる

著者の松浦さんは科学ジャーナリストだ。題名の通り50代の独身男性で母親と二人暮らしをしている。そしてあるとき母親のちょっとした異変から認知症が発覚し、母親の介護生活へと放り込まれる。

内容の詳細は省くけれども、親を介護することの口では表せない大変さ、悲惨さ、救いようのない生活の姿が克明に描かれている。また、介護生活が大変になっていくにつれ、著者のだんだん崩壊していく精神状態のさまは読んでいるだけで辛くなる。そして、著者は実の親に手を挙げるところまで追い込まれてしまう。

著者は「介護」のなにが辛いかというと、いつ終わるとも知れない介護生活の先行きが見えないことだという。たとえば「子育て」であれば、夜泣きしようが排せつ物を処理しようが子供の成長していく過程は楽しみだし、いつかは大きくなって手がかかなくなるという希望がもてる。しかし、介護は時間がたてばたつほど相手が衰弱していくだけで、ますます大変になっていくだけだ。そして相手が死ぬまで続く。それもいつ死を迎えるかわからない。そういう希望のなさ救われなさが著者を苦しめた。

なぜだか読んでいるこちらまで絶望感に襲われる。それくらいさすがは科学ジャーナリストだけあってリアルに介護の描写が細かく書かれている。また男目線の介護なので、なんていうのだろう、すごく理解できるし共感できるところが多かった。

介護は事前に準備をしておくべし

著者は最初、介護を甘く考えていたそうだ。すべて自分だけで母親の面倒を見れると思っていたという。しかし、それは大間違いで最後には二人とも共倒れになりそうなくらい大変な目にあったと反省している。それで私たちにこう忠告する。

なかなか親を介護するということは想像できない。想像できないものに対して覚悟も準備もできない。しかし、親の介護は誰にでも起こるということを想定して準備をすることが大切である。なぜなら実際に何の準備もなく介護の世界に放り込まれると、すべて介護の責任を自分で背負ってしまい身動きが取れなくなるからだ。

なので親の介護をすべて自分で背負い込むのではなく、すぐにでも公的機関や支援センターに相談すべきだと著者はいう。まず、心すべきなのは介護するものが一人だけだと、自分が倒れたとき介護されるほうも倒れる。つまり共倒れだ。そのようなことにならないよう体制を立てる必要がある。そのためにも介護のプロはやはり大変役に立つという。

ようはすぐに介護が必要と思わなくても、いつかは介護が必要になるかもしれないということで、公的機関の連絡先や支援してくれる企業などを探しておいてすぐに連絡できる体制を作ったほうがいいということだ。

ということで私もそろそろ介護という問題にすぐにではないけれど、いずれは直面しなければならないだろう。著者みたいに地獄のような生活は嫌なので、すぐにでも介護のプロに連絡できるように連絡先を見つけようと思う。まあ、うちは田舎なので限られてはいるけれど。

認知症よりがんで死ぬほうがまし?

介護とは関係ないかもしれないけれど、本に書いてあった一文がすごい心に残った。

「ガンは、自分の意志で自分の後片付けをして締めくくるということができるという点では、そう悪い病気ではない」

著者の母親がそうであったように、認知症になるとあらゆることの記憶ができなくなる。そして実の息子もわからなくなるくらいだ。いつ死ぬかはわからないけれど自分で何もできなくなる。しかし、ガンであればいつ死ぬかはわかるけど意識ははっきりしているので、終活というか死ぬ準備というかそういうことができる。その点ではガンは認知症よりいい病気といえるということだ。

私もやはり意識を持ったまま死んでいきたい。「ああ、いまから死ぬんだあ。ああ、死といはこういうものかあ」と人生の一大イベントをちゃんと見届けてみたい。まあ、どうなるかはわからなけど。ただ、認知症になって、う〇こをまき散らしながらみんなに迷惑をかけることだけはしたくない。と、本を読んで深く思った次第である。