政治家志望の方はもっと「マーケティング」を知るべき

通勤途中、交差点で信号待ちをしているとなにやら演説めいた声が聞こえる。50代と思われる男性が一人でスピーカーを肩からぶら下げて、マイクを片手に演説をしていた。「共産党」というひときわ大きなのぼり旗が見えたので、政治家志望の選挙演説かなにかだろう。

車の戸を閉め切っていたし、その交差点はトラックの往来も激しく騒音が大きいので、その男性が何をしゃべっているのかよく聞き取れない。信号待ちのあいだ、ボーっとその男性の演説を見ていたのだけれどふと思った。こんなところで演説をするなんて無駄のなにものでもないだろう。もうすこし「マーケティング」的に考えて演説する場所を考えればいいのにと思ったのだ。偉そうだけど。

では「マーケティング」的とは何か。簡単にいうと企業が作った商品を顧客に「知ってもらい、興味を持ってもらって購入してもらう」ための方法論だ。具体的な方法論となると様々なやり方があるのでここでは述べない。ただ、政治家志望さんにあてはめると、「自分を知ってもらい、主張に興味を持ってもらって投票してもらう」ことが大切になってくる。するとこの交差点で演説することがいかに間違っているかがわかる。どのように間違っているのか?

名前がわからない

交差点で演説していた政治家志望らしき人は、あろうことか自分の名前の書かれた立て看板の前で演説をしていた。立て看板は男性の肩あたりの大きさで、男性の後ろに隠れてしまいまったく名前が見えない。これでは演説をしている男性は誰なのかわからない。「共産党」というのぼり旗だけが目立ち、共産党員ということはわかる。しかし、そんなことを知ったことでこの男性にはプラスにならないだろう。

まあ、この演説をしている男性が、名前を書いた立て看板の前に立つという不注意なのでそれ以前の問題だ。しかし、それにしても名前を知ってもらうという観点からは、立て看板は小さすぎる。これでは車が走っているときに目にとめることもできない。もうすこし大きく、どこかに垂れ幕みたいな目立つものに名前を書いておくべきではなかったかと思う。

演説の内容がわからない

男性が演説している交差点は国道にあり、ものすごく車の往来が激しい。また田舎だから歩いている人や自転車で通る人はまったくいない。なので演説を聞いてもらう対象はおのずと車に乗っている人になる。だけれどもまず、車に乗っていると演説はほとんど聞こえない。

走っているときはさっと通り過ぎるだけなので、演説の内容など聞こえるわけがない。信号待ちをしているときは少しは聞こえるけれど、ほかの走っている車の音が大きいのでよく耳をすまさないと聞こえない。また国道ということもありトラックがよく走っているので、トラックが通ったときなどはまったく演説など聞こえない。

そして一番の問題が、演説を聞く時間がないことだ。その男性の主張をよく知り理解するためには少なくとも10分以上は聞いていないとわからないだろう。しかし、信号待ちをしていたとしても多くて2分ぐらいだ。あ、演説しているな何を言っているのだろうと興味を持ったとしても、すぐに信号が青になってしまい演説を聞く時間などない。もちろん車で走りながらでは演説の内容などわかるわけがない。

おそらく演説をしている男性は、その交差点だと車の通行が多いので演説を聞いてもらいやすいと思ったのだろう。とんだ間違いである。これではサラリーマンの通行人が多いから売れるだろうと朝の通勤ラッシュのとき、駅前に出店した露天商が誰からも見向きもされないのと同じである。

というわけで、どうでもいいのだけれど交差点で演説している政治家志望さんを見てふと思ったことである。別に「マーケティング」など持ち出さなくても少し考えればわかることだ。キツイ言い方をすると、このようなことも考えれない政治家志望さんはいらないと思う。おそらく自分のことしか考えていないのだろう。自分は正しい!みんな耳を傾けるべきだ!というのがひしひしと伝わってくる。こんな人が政治家になったところで、国も街もよくならない。まあ、ぜったいに選挙に当選などありえないけどね。