タダだったから面白かった!?仕事をさぼってまで長江俊和著「出版禁止」にハマった話

知人が「これおもしろいから読んでみなよ」ということで小説を借りた。

出版禁止 (新潮文庫)

出版禁止 (新潮文庫)

 

 小説はよく読むほうだけれど人から借りたことはほとんどない。どうしても自分の趣向と他人の趣向が全然違うから、「おもしろいよ」といわれて借りるけれど全然読めない。ただ今回はどうしたことか、ちょうど読む本がなかったからか気まぐれで借りてしまった。

初版本はもう5年前になる古い本。もちろん浅学な自分は「長江俊和」という作者も知らないし、「出版禁止」という本も存在することすら知らなかった。いつもならAmazonの評価やあらすじなどを見て本を買うかどうか、読むかどうか決めるのだけれど、今回は何の情報もなく唐突に読むことにした。

今日の昼休み、あまり腹が減っていなかったのでサンドイッチと珈琲で簡単に済ませ、余った時間をさっそく「出版禁止」の読書にあてる。まあ、借りた本だしじっくり読む必要もないだろう、さっと読んでいこうという心構えだった。

が!

してやられた。導入部分から引き込まれ、無駄な形容詞などなくサクッと読める文章でストーリーも展開が早く、ページを繰る手が止まらない。昼休み時間があっという間に終わってしまった。やばい!続きが読みたい!仕事なんかどうでもいい!ということで、「お客さんのところへ行ってきま~す」と言いつつ、近所のコンビニに車を止めて「出版禁止」を読んでました。みなさんごめんなさい。

ということでそれぐらい「出版禁止」はおもしろかった。内容は作者である「長江俊和」が「過去に出版が禁止されたルポタージュの原稿があるんだけれど読んでみないか」と知人に言われ、そのルポタージュの内容が「出版禁止」という小説のベースとなる。さらっと読むと本当に「フィクション」なのか「ノンフィクション」なのかわからない展開の書き方で、けっこう斬新だった。

そのルポタージュの内容は、有名な男性映像プロデューサーが女性秘書と「心中」をした事件に関するものだ。心中とはいうものの女性秘書は生き残ってしまう。そこでルポタージュを書いた作者が女性秘書にアポを取り、男性映像プロデューサーとの「心中」について詳しく聞いていくというストーリである。それは本当にお互い同意のうえでの「心中」なのか?もしかしたら、「心中」に見せかけた殺人ではないのか?と様々な謎解きにも似たルポライターの迫り方は、これ、ほんとうにフィクションか?と思わせるほど上手な書き方だ。

前半部分を読んでいると途中で「な~んだこんな展開か・・・、ありきたりだな」と興味をそがれるような部分がある。ルポタージュの題名も「カミュの刺客」だし。なんだそんなもんかと思ったら大間違い!やはり最後まで読んでみてください。

まあ正直、結末は評価のわかれるところだろうと思う。読んだ後に見たAmazonの評価でも、真っ二つだった。個人的にはちょっと盛りすぎた感が大きいかなと思ったけど、さらっと期待なく読んだので結末にちょっとびっくりした分、高評価ではある。いろいろ考えさせられる部分もあるし。

ということで、昼休み30分、コンビニでおさぼり読書1時間30分、だいたい2時間くらいでサクッと「出版禁止」は読める。もちろんじっくり読むとそれはそれで味わいがあると思う。読んでみて損はない。まあタダだったしということもあるけれど、Amazonでは「1円」で販売されてもいましたのでタダ同然です!